ここから、いよいよ発酵の工程です。
この工程で、いままで準備してきたすべての努力が結実するわけです。もちろん気を抜ける工程などないわけで、ここでも醪の状態を常に観察し、温度管理を行っていきます。
発酵の工程
通常、酵母がアルコール発酵を快適に行うための最適な温度は、25℃程度です。
しかし、お酒造りの発酵の場合、ここまで温度を上げることはないです。
温度管理の基本的な流れは、、、
仕込み終了時点の温度が6℃。そこから徐々に温度を上げていくことになります。
1日に1℃程度上げていき、最高13℃まで持っていき、その状態を1週間程度キープ。そしてまた、下げていく。
留め添え後、徐々に細かい泡が発生します。発酵によって発生した炭酸ガスです。
5日~7日後、泡は最高に達します。その後、泡は自然と引いていき、無くなる寸前が「玉泡」(大きな泡)状態になります。
こうして12日ぐらいで泡は完全に消滅します。この状態が「地」。この前後1週間が最高設定温度のキープ期間ですね。その後、徐々に温度を下げていきます。
発酵終了までの期間は、13℃前後を最高点としたときは28日~30日。16℃を最高点としたときは、24日~26日。
大吟醸などは、1日0.5℃ずつ上昇させて最高温度を10℃ぐらいで設定するので、35日程度の期間が必要となります。
低温発酵と香気成分
吟醸酒の果実のような香りを吟醸香といいますが、この香気成分を生成するカギは、使用する酵母の種類、麹の状態(突き破精がいい)、掛米の精米歩合、そして醪の温度と言われています。
低温で発酵させることで、なぜ香気成分が多く生成されるのか。
酵母は飢餓状態寸前が最も多くの香気成分を生成します。
低温にすることで酵素による糖化速度が抑えられます。つまり酵母にとっての飢餓状態をつくりあげることができるというわけです。