良い麹は良い蒸米から

良い麹とは、麹本来の役割である糖化酵素の生成やたんぱく質分解酵素の生成が旺盛な麹です。
要するに元気な麹菌をたくさん繁殖した麹米です。

蒸米工程で、蒸米の理想は「外硬内軟」とご紹介しました。

外側が軟らかいと麹菌は米の外側だけに菌糸を這わせます。これでは各種酵素を十分にお米に貯めこむことが出来ません。

しかし、外側が硬いと、麹菌は軟らかい中心部に向かって菌糸を伸ばしていきます。よって、お米の中心部まで酵素やアミノ酸、香気成分、その他の生成物を貯めこむことができます。

これらの成分がもろみに徐々に溶け出しお酒の品質を造り上げるのです。

麹菌の繁殖状態による、麹の種類

繁殖した麹菌の状態により、いくつかの種類に分けられ、用途も変わってきます。

突き破精(つきはぜ)

お米のところどころに白い斑点が現れ、そこから中心に向かってしっかり食い込んだ(破精込んだ)状態の麹を突き破精と言います。

各種生成物の含有量は比較的少ないため、主に吟醸酒などの淡麗でスッキリとしたお酒に向いていると言われています。

総破精(そうはぜ)

表面全体に破精がまわり、かつ深くまで破精込んだたものを総破精と言います。

総破精は、各種生成物が豊富に含まれますので、主に純米酒などのドッシリとした飲み応えのあるお酒に向いていると言われています。

両者をどのように使いこなすか、あるいは、突き破精でありながらも生成物をいかにして増やすかなど、蔵元の工夫のしどころですね。

 

塗り破精(ぬりはぜ)

お米の表面だけで、奥まで破精込んでいないものを、塗り破精といいます。力のない麹です。

失敗作の麹です。

馬鹿破精(ばかはぜ)

蒸米工程で水分過多になった蒸米は、表面から中まで菌糸が食い込みすぎグチャグチャになってしまいます。これを馬鹿破精といいます。

こちらも失敗作ですね。

塗り破精・馬鹿破精とも、酒造りには使用しにくい麹です。