雪祭り会場として有名な「大通公園」や「時計台」、北日本最大の歓楽街「すすきの」、旧帝国大学の「北海道大学」。これらすべてが徒歩圏内。

北海道の政治経済の中心地であるところの札幌市の、さらにそのど真ん中。豊平川の堤防沿いに日本清酒はある。

なぜこんな都会のど真ん中に酒蔵があるのだろう、また、日本清酒とは、なんとも大胆な社名だなあと思うわけだが、そのあたりも調べてみた。

創業と歴史

蝦夷地などと呼ばれていた北の大地に「北海道」という行政区画名が定められたのが明治2年。

それから3年後の明治5年。石川県能登からやってきた柴田與次右衛門(しばた・よじうえもん)が、創成川のほとりで造り酒屋「柴田酒造店」を開店。“どぶろく”などのにごり酒を始めた。

このようなことから、柴田は北海道の酒造業の先駆者と称されている。

 「柴田酒造店」は、その後、品質向上に努力を重ねて発展。明治30年には柴田屋を中心に、笠原・本郷・山崎・山本・三浦・中川が合併し「札幌酒造合名会社」を設立した。

これにより、札幌の酒づくりは本格的な生産時代を迎えることとなる。

大正13年9月、合名会社を株式会社に組織変更し「札幌酒造株式会社」を創立。

昭和3年には業界企業合同の政府要請に応える形で、片岡・岡田・笠原・藤田・田中・荒井・坂井を合併し社名を「日本清酒株式会社」に。統一銘柄を「千歳鶴」とした。

日本政府の要請を受けて創設された会社だったのだ。「日本清酒」。悪くない。

昭和における発展はめざましく、寿みそ、醤油、余市ワインなどの製造も手がけるかたわら、海外への輸出を始めるなど、多角的な事業展開を図る。

2005年には、民事再生法適応を申請していた旭川の高砂酒造を完全子会社化した。

今では、「全国新酒鑑評会」でも14年連続金賞の栄誉に輝くなど、「千歳鶴」は北海道ブランドの銘酒として全国にその名を轟かせている。

日本清酒の特徴

仕込み水

「千歳鶴」は創業以来、余市岳や札幌岳の雪解け水を水源とする豊平川の伏流水を仕込み水として使ってきた。

 伏流水とは、川から浸み込んだ水が地中をゆっくりゆっくりと流れる、いわば地下に流れるもうひとつの川である。そんな伏流水は長い年月をかけて岩盤層を通り抜け、濾過されながら地中のミネラル分を吸収していく、酒造りにとっては恵の水なのである。

日本清酒の酒造工場「丹頂蔵」で使用している伏流水の性質は中硬水。硬軟両方の性質を併せ持ったバランスの良い水で、おいしい酒づくりにとても適しているという。

 冒頭にも述べたとおり、ここは札幌のど真ん中。およそ酒造りに適しているように思えない土地なのだが、実は、他には代え難い「余市山系の伏流水」がここにあるから、ここを離れるわけにいかないのだ。

原料米

道産の酒造好適米「吟風」は、平成12年に酒造好適米として認められたのだが、日本清酒では、そのずっと前から「吟風」を使った試験醸造を重ねていたという。

数年にわたって研鑽を高め「吟風」の持ち味を最大限に生かす手法を完成。平成13年には大吟醸として発売できるまでになった。

平成15年からは、契約栽培に着手。いまでは、新十津川で育てた「吟風」だけを原料とする生産者の顔が見える酒を発売するなど、北海道の米と水と人で醸す、本当の地酒造りを極めようとしている。

しかしゴールは無いとのこと。まさに昇道無究極だ。

主な商品の紹介

純米大吟醸「瑞翔」

北海道産酒造好適米「きたしずく」を35%まで丹念に磨き上げ、昔ながらの手造りを貫き、長期低温発酵により熟成された気品ある繊細な香りと芳醇な味わいが堪能できます。

  • 原料米/きたしずく
  • 精米歩合/35%
  • 日本酒度/+1
  • アルコール度数/16~17
  • 酸度/1.3

 

大吟醸「雪原の舞」

北海道産米酒造好適米「吟風」を40%まで磨き上げ、蔵元伝統の技で仕込んだ極上の一品。爽やかな香りとふくらみのある軽快旨口タイプの大吟醸です。

  • 原料米/北海道産米
  • 精米歩合/40%
  • 日本酒度/+5
  • アルコール度数/15~16%
  • 酸度/1.2

 

千歳鶴 特別純米

磨き上げた北海道産米と米麹だけを原料に、杜氏と蔵人が丹念に造り上げた特別純米酒。米の旨みと清涼感のあるすっきりとした味わいをお楽しみください

  • 原料米/北海道産米
  • 精米歩合/60
  • 日本酒度/+4
  • アルコール度数/15~16
  • 酸度/1.2