濾過や火入れ固定の有無などにより、下記のような分類に分けられています。

原酒

おり引きしたあとの清酒のことを蔵内で「原酒」と呼びますが、製品としての原酒の定義は、少し違います。

ラベルに「原酒」と表記できる清酒は・・・アルコール度数の調整のための割水(加水)をしない清酒のこと。

同じじゃないの?と思われるかも知れませんが、前者の「原酒」は、ただの原酒ではなく、生酒であり無濾過です。
ですから、製品にした場合は、ラベルに「無濾過生原酒」と表記できます。

いずれにせよ、「原酒」は、割水をしないので、割水したものに比べて濃醇でアルコール度数も高く、19度ほどになります。

生酒

一般酒は上槽後、貯蔵前に1回、瓶詰め前に1回の火入れ(加熱殺菌)を行いますが、その火入れを一切行わないお酒のことを「生酒」といいます。

味わいとしては、私の主観で申し訳ないですが、

・スッキリ、ストレート(アルコール、セメダイン様)な香り。
・芳醇でフレッシュな口当たり。(味わいとしては濃い。果物を食べた感じかな?)
・炭酸ガスが抜け気っていない場合は、舌にピリピリっと軽い刺激がある。私は好きです。

生酒には、酵母や酵素、さらには火落ち菌などの悪者も含まれている可能性があります。
なので、管理が難しく、昔は蔵内でしか飲めないお酒でしたが、輸送技術の発達、流通在庫における低温管理の徹底など、品質管理の向上によって、市場で販売されるようになりました。

とは言え、生酒を購入する側としては、次のことに気をつけて購入してください。

・出来るだけ製造年月日の新しいものを購入する。
・冷蔵ケースに陳列してあるものを購入する。
・蛍光灯の近くのものは避ける。
・通販なら、クール便を利用する。

言い換えると、生酒を販売する側としては、次のような対応が必要です。

・在庫は抱えすぎない。
・冷蔵ケースで保管する。
・新聞紙やアルミホイルなどで光を遮る。
・通販の場合は、クール便で手配する。

生貯蔵酒

上槽したあと、火入れをせずに低温貯蔵を行って、瓶詰め時に火入れを行うお酒のことを「生貯蔵酒」といいます。

瓶詰め時に火入れをしていますらか、基本的には常温流通が可能となります。でも、火入れ回数が1回ですから冷蔵保存が望ましいです。

味わいとしては、生で貯蔵していた期間によって、かなり違ってくると思うのですが、正直、そのような飲み比べをする機会に恵まれず、わかりません。ごめんなさい。

理論的には、香りも味わいも貯蔵期間を経ることで落ち着いてきますから、生酒の特長が半減し、熟成感がプラスされるイメージですね。
炭酸については、完全に抜けています。

生詰酒

火入れをした原酒を貯蔵して熟成、瓶詰め時の火入れを行わないお酒を「生詰」といいます。

生貯蔵よりも生詰めのほうが、取り扱いはデリケートです。

というのも、熟成期間を終えた原酒は、割水をしてアルコール度の調整を行います。この水に雑菌が含まれている可能性があります。また、瓶詰め工程でも雑菌が混入する可能性があります。これらの工程で混入した雑菌を過熱処理で殺菌しないわけですから、冷蔵保存が必須です。

味わいはといいますと、これも同じ銘柄・同じ酒質での生貯蔵/生詰の飲み比べが出来ないので、なんとも言い難いのですが、生貯蔵に比べるとフレッシュ感がやや強く残っていると感じます。

「ひやおろし」や「秋あがり」は、基本的に生詰です。
火入れした新酒を貯蔵タンクでひと夏寝かせて、秋口の涼しくなった頃に瓶詰めして出荷します。

蔵内では、夏を越した原酒の熟成具体を確認するために、タンクの呑み口から酒を抜いて利き酒をします。これを「呑み切り」といいますが、それを味わうことが出来るという点が値打ちですね。

無濾過

一般的には、活性炭濾過をしないお酒に「無濾過」と表示されています。

おり引き後の清酒は薄い黄金色をしています。活性炭濾過は、この色を取り除くために行います。しかし、入れすぎると、色だけでなくお酒の旨み成分も吸着して取り除かれてしまい、ペラッペラのお酒になってしまいます。

本来なら、まったく濾過をしないものが無濾過であるべきなんでしょうけど、現在は珪藻土濾過やろ過紙によるフィルター濾過は行われていても、無濾過として出荷されているようです。

活性清酒

上槽時に、モロミを目の粗いの布で濾すことによって濁らせたお酒で、かつ、濾過や火入れを行わないお酒を「活性清酒」といいます。

酵母や酵素が残っているため、瓶内で少しずつ糖化や発酵が進みます。シャンパーニュの瓶内二次発酵と同じですね。瓶のフタに穴を開けて発酵によって発生した炭酸ガスを適度に抜けるよう工夫された瓶に詰められます。
冬季だけの季節限定での販売が多いです。

味わいは、とにかくシュワシュワっとしたガスがはじける感じ。でもそんなに強烈ではなく優しいはじけ具合。
甘いものから、辛口まで、蔵元によっていろいろです。

普段、日本酒を飲まない女性も、これならOKらしく、カルピスソーダみたいで飲みやすい!とのこと。

にごり酒

本来は、上槽時に、モロミを目の粗いの布で濾すことによって濁らせたお酒を総称して「にごり酒」なんですが、昨今は火入れをしないものを特別に「活性清酒」として販売し、火入れをしたものを「にごり酒」として販売することが多くなってきました。

「無濾過」の定義につてもそうでしたが、ここらへんが曖昧なのが日本酒の世界でして、生のものでも「にごり酒」としか表示されていないものもあったり。ややこしいです。

おり酒

これも、「にごり酒」の一種ですね。

おり引き時のおり(白い沈殿物で酵母などが含まれる)を瓶詰したものを「おり酒」といいます。
火入れしたものもあれば、火入れしない生酒タイプもあります。

一般的には、甘口が多いですが完全発酵させた辛口のものもあります。

ここまでは、生系のお酒で、出来立てを味わいを楽しむお酒でした。

 

熟成酒

タンクでの貯蔵を終えると、濾過、火入れ、瓶詰めを行いますが、瓶詰め後すぐに出荷せず、さらに2℃の冷蔵庫で貯蔵し意図的に熟成させたお酒を、熟成酒、熟成古酒と言います。

年数を重ねるごとに、熟成香(カラメル様、ナッツ様)が増し、色もコハク色も増していきます。ブランデーのようにグラスで香を楽しむ、あるいは、ぬる燗で。

詳しくは、下記の記事をご覧ください。
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