一般的に高精白すると香のいいお酒が出来上がるといわれています。

これは、米に含まれる成分分布と関係があります。

米の外側にはタンパク質がある

白米の外側には、たんぱく質や脂質が多く含まれています。

これ、食べるには栄養素が豊富でよいのですが、お酒造りには多すぎるとよろしくない成分なんです。

だから、雑味を少なくするために外側を削る。

でも、この成分は「多すぎるとダメ」というのがミソ。実は、「まったくないのもダメ」。

というのは、たんぱく質が分解されてアミノ酸が生成されるわけですし、そのアミノ酸から芳香成分である高級アルコール類やエステル類が生成される。

だから必要な成分ではあるわけ。しかし、多すぎると味に雑味が入るわけ。ややこしいことです。

米の外側にも脂質がある

じゃぁ、香との関係は?というと、、、

まず押さえておきたいのは、エステル類の香気成分は、主に酵母の細胞内に作られるということ。

その香気成分は、酵母の細胞膜を通って醪の中のアルコールに溶け出して、お酒の香りとなります。

 

酵母は増殖していく中で、生きていくために、アルコール度数や酸度など周りの環境に合わせて細胞膜の強度を変化させていきます。

その細胞膜をつくる時に必要な成分が脂肪酸なんですが、不飽和脂肪酸が多いと不飽和脂肪酸をつかって細胞膜を作ります。

  • 不飽和脂肪酸からできた細胞膜は香気成分を通しにくい
  • 飽和脂肪酸からできた細胞膜は香気成分を通しやすい。

で肝心な、米の外側にある脂質はというと、麹の酵素で分解されるとリノール酸などの不飽和脂肪酸になってしまうのです。

高精白することで、余分な不飽和脂肪酸の素となる脂質を削りとることで、香気成分を通しやすい細胞膜を持つ酵母が増殖され、香のよいお酒が生まれる、というしくみです。

今でこそ、科学の進歩で、このようなことが解明されていくわけですが、これが昔から経験による知識として伝統的に伝わってきたことを思うと、ほんと、日本人ってすごい!と思います。